創業1845年。塩釜で愛され続ける味噌醤油醸造所「太田與八郎商店」

インバウンドの増加とともに、“歴史を刻む建物”や“老舗の味”が再び注目を集めていますね。

今回は、塩竈のまちとともに170余年。
伝統の味を守り続ける味噌・醤油の醸造元「太田與八郎商店(太田屋)」をご紹介します。

歴史を物語る蔵と店舗

「太田與八郎商店(以下、「太田屋」)」は、JR仙石線「本塩釜駅」から徒歩約5分。
塩竈神社のほど近くにあります。
駐車場も完備されており、車でもアクセスしやすい立地です。

歴史を感じさせる重厚な外観は、遠くからでもすぐにわかります。

現在の蔵は大正14年に、現在の店舗は昭和4年に建てられたそうです。
塩竈のまちにふさわしい永い歴史を感じさせる美しい建築物として、1993年に塩竈市文化景観賞を受賞しています。

いざ、店内へ

歴史ある木の引き戸を開ける瞬間は、少し背筋が伸びるような緊張感。
店内には、醤油や味噌の瓶が整然と並んでいます。

一角に展示されていた陶器の容器は、かつて、醤油の量り売りに使われていたもの。
小さなものは家庭用、大きなものは船積み用だそうです。

昭和初期頃までは、店舗前は海に面しており、船が乗り付けて、しょうゆや味噌を積んで行ったという港町らしい歴史を聞かせてもらいました。

さらに、家庭用容器は、お客様から「うちに太田屋さんの容器があったよ」といただいたものとか。
地元の人たちとの深いつながりを感じますね。

「イゲタヨ印」のはっぴ

太田屋のシンボルマーク「イゲタヨ印」は、創業当時につくられた伝統の印です。
“良い仕込み水に恵まれ、品質の向上が図られるように”との願いを込め、井戸の井桁(イゲタ)の中央に名前の一字「與」の字を取り入れています。

イゲタヨ印の入ったこちらの「はっぴ」は、明治時代のもの。
趣のある色合いに惹かれますが、実は、東日本大震災後の片づけの際、たまたまタンスの奥から見つかった貴重な一枚だそうです。
奇跡的に残されていたはっぴは、太田屋の長い歴史を象徴する宝物ですね。

イゲタヨ印 醤油と仙台味噌

基本の醤油は、どんなお料理にも使えるノーマルタイプの「松印醤油」、「いろなし醤油」、「さしみ醤油」の3種類。

そして、今ではほとんどおこなわれていない醸造方法・木桶仕込み醤油「あさあけ」。
木桶仕込みの醤油は、味も香りも全く違うそうです。

名前の「あさあけ」は、港町の早朝、しょうゆを絞った瞬間に見ることができる浅緋(あさあけ)色に由来するそうです。美しい名前ですね。

味噌は、古くから受け継がれてきた製法で作り続けている仙台みそ。
風味豊かな辛口の赤味噌で、そのままでも食べられる「なめみそ」です。

みそは、容器を持参すれば、量り売りもしてくれるそうです。
必要な分だけ詰めてもらえるのは、環境にもやさしく、昔ながらの商いの温かさを感じます。

伝統の味から新しい味へ

他にも、伝統の味噌や醤油を使ったいろいろな新しい商品があります。

味噌や醤油を使ったジェラートは、食べ歩きにもおすすめです!

地元の土井製菓とのコラボ「和風メレンゲ」には太田屋の味噌と醤油が使われています。

「調味料選手権2023」で地域の味ベスト賞を受賞した「のりだれ」にも太田屋の醤油が採用されています。

これを買いました

今回、購入したのは、お醤油の味比べをしたく、「あさあけ」と「松印醤油」の2本。
さらに、これから寒くなるので、お鍋にぴったりとおすすめしていただいた「ゆずポン酢しょうゆ」。そして、「糀の甘酒」です。

今回お話を伺ったのは、現店主の息子さん・太田岳志さん。
太田さんは、醤油・味噌作りの奥深さや塩竈の歴史について丁寧に教えてくださり、とても楽しい時間を過ごせました。

また、太田屋さんでは、蔵や仕込み木桶の見学、さらに、醤油搾り、醤油仕込み、味噌仕込みなどの体験も行われています。公式ホームページから予約できますので、ご確認ください。
みなさんも「太田与八郎商店」に、ぜひ足を運んでみてください。

太田與八郎商店(おおたよはちろうしょうてん)
住所:宮城県塩竈市宮町2-42
アクセス:JR仙石線「本塩釜駅」から徒歩約5分
TEL:022-362-0035
営業時間:9:00-17:00
定休日:日曜日・祝日
駐車場:有

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。